vol.26 Fantasy on Ice②
COLUMN
代表コラム
~ アイスショーと私 ~
2022.12.27
コラム
フィギュアスケート
テーマ:
vol.26 Fantasy on Ice②
2010年ファンタジー・オン・アイスの新潟公演はゴスペラーズという素晴らしいアーティストとのコラボレーションで成功を収め、復活をアピールする事ができました。
ただ、この年はホッとする間もなく9月には初めて開催予定の福井公演が待ち受けていて、この時はまだアーティストは決定していませんでした。考えられる全ての人間関係を行使してあたりましたが、2ヶ月後という事もあり、名の通ったアーティストのスケジュールが空いているはずもありませんでした。
困り果てている中、ふと思いついたのが、この年の新潟公演で初めてロシアの皇帝プルシェンコさんを呼んでいて、そう言えば再婚したお相手のヤナさんが実業家であり、ロシアで有名な歌手をプロデュースしているとプルシェンコさんからも売り込まれていたのを思い出したのです。その名は“ディーマ・ビラン”。日本では無名かもしれませんが、「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」で2位、2008年にはプルシェンコさんとハンガリーのバイオリニスト、エドウィン・マートンさんとのコラボレーションで優勝しています。
復活したファンタジー・オン・アイス、1年目で海外アーティスト招聘?と言うより、一体どのくらいの出演料がかかるのか?それが一番心配でしたが、交渉に入ってからは先方の方も来日してアピールしたいという気持ちがあるのか、意外にも話は上手くすすみ、それならいっその事エドウィン・マートンさんも呼んで「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」で優勝を勝ち取ったコラボレーションも披露してもらおうと思ったのです。
この公演もスペイン国立バレエ団の元プリンシパルだったアントニオ・ナハーロさんにオープニング・クロージングの振り付けをお願いし、そしてスペインからダンサーも呼んで、ダンスプログラムも披露。歌あり、ダンスあり、生バイオリンあり、そして米国からのスタッフの力も借りて、まさに進化したファンタジー・オン・アイスとなりました。
余談ですが、ロシア人はなかなか信用してもらえず、親しくなって信用されるまで何回かの仕事の積み重ねが必要で、時間もかかります。プルシェンコさんは2006年のファンタジー・オン・アイス以来でしたが、新潟公演で再会して少しは信頼関係が出来つつありましたが、ヤナさんとは初めてご一緒した仕事だっただけに、この時はまだ夫のプルシェンコさんほど信頼されていないこともあり、ディーマ・ビランさんの出演費をショー終了後すぐに現金で支払ったのをよく覚えています。
2022年12月