vol.20 Champions on Ice ②

COLUMN

2022.06.21

コラム

フィギュアスケート

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vol.20 Champions on Ice ②

荒川静香さんがトリノオリンピックの金メダルを獲得し、初めてのチャンピオンズ・オン・アイスに呼ばれたことで、日本公演の開催がトントン拍子に進んでいきました。やはり地方テレビ局などでは荒川静香さんの凱旋アイスショーとして開催したいという意味合いも大きかったのだと思います。

2006年9月、荒川静香さんの地元である仙台と静岡での開催が予定されました。どちらの会場もリンクを製作しなければなりませんでしたが、2002年サッカーのワールドカップの関係で造られたサッカースタジアムは、総合運動場として体育館も隣接して造られており、その体育館はアイスショーを開催する条件として演出照明や音響なども設置可能で非常に良い会場でした。2006年米国ツアー最中の6月、ミネアポリスに行き、主催者のトム・コリンズ氏に会って具体的な話を詰め、基本合意に至りもう後戻り出来なくなりました。

チャンピオンズ・オン・アイスが初めて海を渡り、日本に上陸することが決定したのです。

シアター・オン・アイスに続いてまた大きな賭けに出てしまいましたが、アイスショーの本場、米国最大のアイスショーのひとつであるチャンピオンズ・オン・アイスを初めて日本に招致出来ることが嬉しくてたまりませんでした。

そして最終打ち合わせを兼ねて8月、ラスベガス公演を観に行きました。会場の入り口にはミシェル・クワンさん、サーシャ・コーエンさんの写真の大きな幕が飾られていて、どこの国でもまずは自国のスケーターなのだなと思いました。ミシェル・クワンさんは言わずと知れた1998年長野オリンピック銀メダリスト、2002年ソルトレイクシティオリンピック銅メダリストで、世界選手権では5度の優勝に輝いた、米国ではgreat(偉大な)チャンピオンとして称えられているスケーターです。

荒川静香さんは直近のオリンピックチャンピオンにも拘わらず、自国とはいえ同じトリノオリンピックで銀メダルをとったサーシャ・コーエンさんと比べると、彼らにとって荒川静香さんは初めての出演でもあり新人という扱いなのか、プログラムもツアー全体の統一パンフレットだから間に合わなかったのか、彼女の写真が載っていないことには驚きました。日本ならば当然追加の出演スケーターとして差し込み写真を入れたりすると思いますが。出演順も後半の2部ではありますがサーシャ・コーエンさんの前でした。

ショーが始まり荒川さんが"オリンピックチャンピオン" とコールされて演技を披露した後は大拍手が送られました。そして最後に、ミシェル・クワンさんのアナウンスがあると場内の観客は総立ちで彼女の登場を迎えます。その人気ぶりは今も現役でいる選手の様でした。正直なところ、演技には衰えも感じましたが、観客はスタンディングオベーションとなり終了しました。すべてのプログラムが終了し、バックヤードではファンサービスのサイン会が行われていました。そこに多くの米国のファンが荒川静香さんの周りを囲みサインを求めているのを見て、日本人として彼女を誇らしく思いました。