vol.17 Theater on Ice 2006 ③
COLUMN
代表コラム
~ アイスショーと私 ~
2022.06.21
コラム
フィギュアスケート
テーマ:
vol.17 Theater on Ice 2006 ③
2006年を迎え悪い予感というのは当たるもので、案の定、約9,000席×3公演=約27,000枚のあるチケットの販売は最初に売り出した時点から大きな伸びはなく、各公演約2,000枚前後の販売に留まり、20,000枚以上のチケットが余っている状況でした。もしもこのままの状況であったら公演をどうしようなどと考え込んだり、もちろんこのようなじわじわとした販売推移では約1億円に近い赤字が見えていました。
“オリンピックでの日本人選手の活躍を祈るしかない”
トリノオリンピックの日本人選手枠は女子3名ですが、男子は1名、アイスダンスは1組でした。オリンピックが始まり、まず男子シングルの髙橋大輔さんが出場し、ショートプログラム5位、フリー9位、最終順位を8位と健闘し入賞しました。
私はメダル獲得の可能性の高い荒川静香さん、村主章枝さん、安藤美姫さんの3名が出場する女子シングルを見に行きました。女子はショートプログラムで荒川さんが3位でしたが、1位・2位とほとんど得点の差はなく、村主さんも4位につけていました。
そして運命のフリーが始まりました。優勝候補と言われていたロシアのスルツカヤ選手にオリンピックの重圧からなのか、しばらく見たことのない転倒がありました。この時点でロシアはペアで金、男子で金、アイスダンスで金を獲得していましたので、獲れば全種目制覇という期待がかかっていたからかもしれません。
結果、失敗のないほぼ完璧な演技で滑り切った荒川さんが金メダルを獲得し、私は初めて異国の地で“君が代”を聞くことができ、感動しました。
このオリンピックでの日本選手団の健闘により、 “これでチケットが売れる”そう感じました。
日本選手団としては他の競技も含めて残念ながらメダル獲得ができず、荒川さんの金メダル1つという結果で終わりました。それでも日本ではどちらかというとマイナースポーツと言われてきたフィギュアスケート競技で伊藤みどりさんの銀メダル以来、初の金メダル獲得は日本で号外が出るほど日本中に歓喜をもたらしました。
そして私達が何も働きかけなくても新聞社の方で独自に荒川さんの予定を調べ、帰国後、日本で最初に演技をするアイスショーとしてTheater on Iceが告知されたのです。