vol.07 フィリップ・キャンデロロ<6>
COLUMN
代表コラム
~ アイスショーと私 ~
2022.06.20
コラム
フィギュアスケート
テーマ:
vol.07 フィリップ・キャンデロロ<6>
2年目の2002年は「Fantasy on Ice」というタイトルにして開催しました。11月の開催となったため、スケート連盟としてその時期に出演させたい選手で名前が挙がったのは、あどけなさが残る浅田真央さんと、まだ高校生の髙橋大輔さんでした。招聘や宣伝などの運営業務は2回目ということもあり、卒なくこなすことができ、結果会場をほぼ埋めることができました。
2003年2月には、長野オリンピック5周年記念としてスケート連盟がエキシビションを開催、3月には札幌と大阪で「Fantasy on Ice」を開催し、このシーズンはフィリップと幾度も一緒に仕事をすることで、多くのコミュニケーションがはかれ、互いの信頼関係が強固なものになったと実感しました。これから更によいショーを制作できるとも思い、苦労はしたけれどここまでやってきてよかったと思いました。
ところが、今度はフィリップと代理人が仲違いし、もう一緒に仕事はできないと別々にメールが届きました。どうもフランスでのショーで赤字が出て、その支払いに関して話の食い違いが生じたようです。2人は幼馴染みで本当に信頼し合っていたと思いましたが、どこの国でもお金の問題は深刻で、その確執は修復できそうもありませんでした。したがって2003年はフランスでのショーが開催できなくなり、そのためフランスでのショーを踏襲できず、「Fantasy on Ice」を開催するには全ての演出を一から制作しなければならなくなりました。
フィリップと元代理人、どちらと組んでやるのか・・・・。勿論フィリップが出演しなければ成り立ちませんが、制作作業は元代理人の力も必要。結果、私が2人の間に入って作業を進めました。ショーは内容的には満足のいくものとなりましたが、経費が相当嵩んでしまったこと、また、それ以上に私が精神的に参ってしまいました。海外スタッフもどちらに付くかで分裂し、もう同じスタッフで仕事をすることが困難となり、この年で「Fantasy on Ice」は幕を閉じました。
月日は流れ、昨年新しい枠組みで「Fantasy on Ice」を復活させることができ、その時はフィリップもちょうどフランスのショーと重なっているため出演できませんでしたが、今年は出演できることになり、8年振りに一緒に仕事が実現でき、完全復活となりました。ご期待ください!